フランス発祥のフランス式旅行用自転車のこと。悪路や起伏のある長距離の道を重い荷物を乗せて走るのに適すると同時に、持ち運び(輪行)に便利な構造になっている。パンクしにくい太めのタイヤ、低速走行に向くフレーム、峠や上り坂に対応できる高めのギア比、乗車姿勢を変えられるドロップハンドル、コントロールしやすいカンチブレーキなどが特徴的。同じくツーリング車として知られるスポルティフと異なり、未舗装路にも適した構造をしている。さらに、前後にキャリアや泥除けをつけたり、ペダルにトークリップやトーストラップをつけたりと、快適性を高める装備をすることが多い。用いられるパーツはフランス式が多く、例えばホイールのサイズ表示はインチではなくミリメートルで行われる。
ランドナーの前身は、長距離耐久レース用に開発されたフランス式自転車。それが第二次世界大戦後日本に伝わり、日本メーカーによる国産化と量産化の過程で、一部のフランス式旅行用自転車が「ランドナー」という名前で定着した。「ランドナー」とは、フランス語で「遠出をする人」を意味する「ランドヌール(randonneur)」という言葉を英語風に読んだもの。かつては、多くの大手自転車メーカーでランドナーの完成車が量産販売されていたが、1990年代以降は市場は、数社がオーダーまたはセミオーダー販売するのみに縮小している。しかし、オーダー制による高額化がランドナーの更なる倦厭の要因になる一方で、職人技が集約されている、乗り手のオリジナリティが出しやすいという点でマニア的な人気を保っている。また、ランドナー独自のパーツの使用への固執をやめ、より利便性や互換性の高いパーツを用いた新しいランドナーモデルも開発されている。
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